ゆくりか

伊藤歌奈子|三波千恵|神農理恵

企画|山本さつき

See Saw gallery+hibit,愛知

2019.7.6-8.31

photo by Kudo Tamotsu


http://www.seesaw-gallery.com/exhibitions/2019/1378

三人の作品との出会いはみな不意打ちのようで、心に焼きつきながらも像はぼんやりしたまま結ばれず、そのままけっこうな月日が経った。実に危なっかしくもあるが、作品の底に見える腹の据わりかたが好もしい。理屈に平手を食らわすような相手だから、なまなかには言葉にならない。三人のそういう作品はまるで抜き打ちテストである。ところで、「ゆくりか」という言葉には「やにわに/おもいがけなく」という意味と「ゆっくり」という音が含まれている。音も意味なのかという議論はさておき、この展覧会のなりたちだけでなく作家たちとその作品にも近いことであり、展示の場でそれを眼と体に染み込ませていただければ幸いである。

(美術評論家 山本さつき)