group exhibition:カンガルーが走れば
Fuchu museum
Tokyo

photo by Masaru Yanagiba

 

https://runrunkangaroo.wixsite.com/home

 

ありふれた物質の断片に垣間見える有機的な形態に目を向け、そこに新たな色彩と質感を付与することで、その物が辿ってきた運命的とも言える物語のイメージを拡張していく。様々なテクスチャーを持つ個々によって構成された空間は、ある種の絵画的とも言える均整を保ちながらも、一方で、その物質ひとつひとつが本来的に担っていた「あるがまま」の力強さ、見る者にとってどこか象徴的にその空間に存在しうる量塊としての威力を、失ってはいない。それは目についた物の内から魅力を持った形態を選び抜く、神農の優れた感覚によるものかもしれないし、あるいは、そうした物質の放つ声のようなものへ徹底的に耳を傾けるようと試みる、物質存在への慈愛に満ちた態度によるものかもしれない。

(武蔵野美術大学院 芸術文化論コース NK)